一般的な原因・傾向について

脊柱管狭窄症は、脊髄神経の通り道（脊柱管）がせまくなることで起こる症状です。
脊柱管は椎体や椎間板が作る“太い筒”のような構造で、その中に大事な神経が通っています。
この筒がせまくなると、歩いている途中で足がしびれたり、痛みが強くなったりします。

脊柱管がせまくなる原因には、生まれつき脊柱管が細い体のつくりを持つ人もいれば、
加齢による椎間板のふくらみ、関節の変形、骨のトゲ（骨棘）、黄色靭帯という膜がぶ厚くなることなど、長年の身体の使い方で起こる変化が積み重なって生じる場合も多くあります。

黄色靭帯は脊柱管の内側を覆う膜で、前かがみでは引き伸ばされ、反るとたるむ性質があります。
体幹の動作を繰り返すことで靭帯は少しずつ肥厚し、関節の摩耗やゆるみも進み、やがて神経の通り道へ張り出してしまいます。

これはまるで、繰り返す揺れ（＝日常動作）で家の柱が少しずつゆるみ、内部に倒れ込んで家の中（＝脊柱管）を圧迫してしまうようなものです。
本来守るはずの構造が、長年の負荷によって逆に神経を圧迫してしまうのです。

（長年大幹を動かし続けていると、関節が変形して脊柱管が狭窄される。）

また、股関節の硬さや体幹の不安定性、胸椎の動きの悪さ、足裏のアーチの崩れ、浅い呼吸なども
腰の代償動作を増やし、狭窄症の症状を悪化させる原因になります。

さらに、脊柱管狭窄症には特徴的な症状として、
歩くとつらくなるが休むと歩ける「間欠性跛行」があります。
立つ・歩く姿勢では腰が反りやすく、脊柱管がせまくなり神経や血流が圧迫されるためです。
しゃがむ・座るなど、腰を丸める姿勢で楽になるのも特徴です。

似た症状でも、足の血管が原因の「血管性跛行」では、腰を曲げても反らしても症状が変わらず、足の血流チェックが重要になります。

脊柱管狭窄症は症状の出方によって

• 会陰部のしびれ、排尿・排便異常が出る馬尾型
• 片側の足に痛みやしびれが出る神経根型
• 両方の特徴を持つ混合型

に分けられます。

特に馬尾型は医療機関での治療が必要な場合がありますが、神経根型では姿勢や動きの改善によって変化が見られるケースも多いです。

このように、脊柱管狭窄症は「神経の圧迫」だけではなく、構造変化・姿勢・筋膜・関節・内臓の働きなど複数の要因が重なって起こる症状です。