腸と脳はつながっている?腸脳相関と身体のセルフチェック

先日、映画『ちいかわ』を観ました。

舞台は島。島といえば海、海といえば海藻。

今回は、先日発表された海藻に関する論文から、強引ですが腸のお話につなげてみたいと思います。

海藻の食物繊維と腸

海藻は食物繊維が豊富で、「お通じに良い」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか?

先日、順天堂大学などの研究グループから興味深い研究が発表されました。

海藻に含まれる水溶性食物繊維「アルギン酸」を与えたマウスでは、腸内のタウリンが増え、傷ついた腸の粘膜が修復されやすくなることが確認されました。

人を対象とした試験でも便の中のタウリンが増える変化が確認されており、海藻の食物繊維と腸内環境の関係について今後さらに研究が進むことが期待されています。

ここで面白いのは、腸は単に食べ物を消化するだけの場所ではないということです。

腸と脳はお互いに影響している

腸と脳は、神経や免疫、ホルモン、腸内細菌が作り出す物質などを通して、お互いに影響し合っています。

この関係を「腸脳相関」といいます。

例えば、大事な発表や試験の前に、緊張してお腹が痛くなった経験はありませんか?

これは、脳が感じたストレスが自律神経を通して腸の動きに影響している身近な例です。

反対に、腸から脳へ伝わる情報もあります。

腸内細菌が作り出す物質や、腸で起こる免疫反応なども脳と関係しており、気分やストレスとの関わりが研究されています。

つまり、脳が腸に影響するだけではなく、腸から脳にも影響が伝わっているということです。

腸と「痛み」の関係も研究されている

最近では、腸内細菌と「痛みの感じ方」の関係についても研究されています。

腸内細菌が作る物質や免疫反応は、炎症や神経の働きにも関係しています。

実際に、腸内細菌の種類やバランスと、圧力に対する痛みの感じやすさに関連がみられた研究もあります。

腸だけで慢性的な痛みの原因を説明できるわけではありませんが、腸・神経・免疫・痛みの感じ方にはつながりがあることが少しずつ分かってきています。

整体では腸をどう考える?

腸には「腸管神経系」と呼ばれる、腸を動かすための大きな神経ネットワークがあります。

この神経ネットワークには約1〜2億個の神経細胞があるとされ、その数は脊髄と同じくらいともいわれています。

私たちは普段、腸が食べ物を先へ送ったり、消化液を出したりする動きを意識していません。

それでも腸は、自動的に消化や吸収、血流などを調整しています。

こうした働きから、腸は「第二の脳」と呼ばれることもあります。

また、小腸には「パイエル板」という免疫に関係する組織が多くあります。

これは、食べ物や細菌など、口から入ってくるものを身体が見分けるための防御システムの一つです。

このように腸は、消化だけでなく、神経や免疫とも深く関わる臓器なのです。

整体では、こうした身体のつながりにも目を向けます。

例えば、お腹が張っていたり不快感があったりすると、無意識に身体を丸めたり、呼吸が浅くなったりすることがあります。

すると、呼吸に関係する横隔膜や肋骨、背骨まわりの動きにも影響します。

筋肉や関節だけでなく、呼吸やお腹まわりの緊張も含めて身体全体を確認することで見えてくることがあります。

セルフチェック

最後に、オステオパシーで使われてきた「チャップマン反射」という考え方をご紹介します。

チャップマン反射とは、内臓の状態と、身体の特定の場所に現れる押したときの痛みや硬さを関連づけてみる評価方法です。

小腸に関係するとされるポイントは、身体の前側にあります。

・第8肋骨と第9肋骨の間
・第9肋骨と第10肋骨の間
・第10肋骨と第11肋骨の間

場所としては、みぞおちの左右から少し外側にある、あばら骨の下の方です。

肋骨の前側にある少し柔らかい「肋軟骨」の近くを、左右とも確認します。

指の腹でそっと押してみて、左右で硬さや痛みに違いがあるか見てみてください。

お腹の張りや便通、食後の不快感などがある方は、普段のお腹の状態と照らし合わせてみるのも面白いと思います。

※チャップマン反射だけで病気の有無を判断するものではありません。身体の状態を見る一つの参考としてお試しください。

最後に

腸は、消化器官としてだけではなく、神経や免疫、腸内細菌などを通して、脳や全身とも関わります。

身体の不調を考えるときは、痛みがある場所だけでなく、食事や睡眠、ストレス、便通などにも目を向けてみることにより、新しい気づきがあるかもしれません。

映画の島から始まり、ずいぶん遠いところまで話が広がりましたが、たまには海藻を食べながら、自分のお腹の状態にも目を向けてみてください🌿

※参考文献

Microbiota–Taurine Pathway Links Dietary Fiber to Mucosal Healing
🔗https://www.juntendo.ac.jp/news/28732.html 順天堂大学

The Microbiota-Gut-Brain Axis and Neurological Disorders: A Comprehensive Review
🔗https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39459534/ PubMed

Correlation Between Gut Microbiome Composition and Acute Pain Perception in Young Healthy Male Subjects
🔗https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33260215/ PubMed